11/23 下北沢CLUB Que『KiZUNA』レコ発ツアー〜出没!キズナチック天国〜
『KiZUNA』というアルバムは、実に素晴らしい出来である。
心を揺さぶるドライブ感と上質なメロディーはもちろん、そこに加わるストレート過ぎる歌詞。
今更ではあるが、彼らの良さを再確認させられた人も多いのではないだろうか。
僕もその1人であり、だからこそ、そのサウンドを直接感じ取れるこの日のライヴは楽しみだった。
それに加えて、「いや〜、ホントにライヴが振り切れましたよ。結局、ロックが好きなんだってことに改めて気づいて……」と、ライヴの数日前にヴォーカルである岡田が力強く語ってくれたことも大きい。
電話口からではあったが、自らの拠り所を再確認したその言葉を聞いて、更に高まった期待感はまさに問答無用。
当日も、楽屋を覗くと、実にメンバーがいい表情をしている。
そして、ワンマンならではのいい緊張感を味わいながら、スタートを待つ。
SEが鳴り、ライヴが始まると同時に、思わず笑い出してしまった。その躍動感が尋常ではない。
1曲目の「エイティーズチルドレン」からその期待感を遙かに凌駕してくるのだ。
すべての瞬間に足跡を刻み込むようなエネルギーが放出されまくっている。
オーディエンスも鼓動が一気に高まったのだろう。フロアの熱気が上昇してくのが手に取るようにわかる。
続けて奏でられた「サヨナラだけは言葉にできない」でも勢いは衰えず、ギリギリのところで個々のサウンドが鎬を削っている。お互いに遠慮などすることなく、自らの頂点での交わりを求めていく姿勢は、バンドとしての理想型だ。
新曲も披露し、「カゲオクリ」では、彼らにしか出せないと言い切れる傑出した存在感でフロアを制圧していく。 胸の奥がギュッと掴まれるそうな、何とも言えない高揚した気持ちになってしまう。
そして、中盤からは渡部貴彦(ex.マスミサイル)がキーボードとして参加。
初となる試みだったが、その調和は驚くほど滑らかであり、世界観が見事なまでに増幅されていく。
必要な音だけがしっかりと加えられている。
また、ドラムとしてハゼ(BRIT BANQUET)が登場し、岡田がギターヴォーカルになるサプライズ。
総勢6人となっている新鮮な視覚も楽しみつつ、ひと味違ってくるサウンドもまた心地よい。
終盤は、「奇跡の欠片」、「プラットホーム」、「ラストスパート」と立て続けに放つのだから、まさに圧巻のひと言。
どうしようもなく、ステージへと惹き付けられてしまう。
力強さと優しさを兼ね備えたグルーヴは輝かしさを持っているのだ。
鳴り止まない拍手によるアンコールがあり、最後に奏でられたのは「thanks for you」。感謝の言葉をストレートに綴った歌詞が会場全体に染み渡っていく。
メンバーのみならず、オーディエンスも自然と顔が綻ぶ。彼らのライヴは数多く観てきたが、これほどまでの一体感はなかったのではないだろうか。
思い返せば、5年前の彼らは力しか知らず、フロアを支配するかのような圧力で突き進むだけだった。
そこから幾多の作品やライヴを重ね、様々な技を体に刻み、すべてが集約されたのが『KiZUNA』だと僕は解釈している。
それは、THE LOCAL ARTというバンドの軸が完成したと言っても過言ではないはずだ。
ツアーファイナルと言えば、作品をリリースしての集大成という意味合いが強いのは間違いない。
だが、今回はそこに留まらず、彼らの新しい幕開けが提示されたのだ。ひとまず、旅の終わりではあるが、これからの歩みが本当に楽しみでたまらなくなった、実にいい夜だった。
TEXT:ヤコウリュウジ |
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